ママパパとの対話 「5つのステップ」
教科書ーママパパ対応
5.ママパパとの対話 「5つのステップ」
ママパパの持っている不安な気持ちを、どう受け止めて、どうお話することで
ママパパが安心するか、この先生に任せたいと思うか。
ここが、入会につながる大事なポイントです。
教室のコンセプトや、先生の気持ちを一生懸命に伝えても伝わらないのです。
ママパパが納得して、安心できる、伝わる方法をマスターしておきましょう。
リトピュア式 ママパパとの対話 「5つのステップ」
ステップ1.ママパパの不安を否定する
ステップ2.見逃さなかった子どもの様子を具体的に伝える
ステップ3.先生がすることを伝える
ステップ4.ママパパがすることを伝える
ステップ5.〆の言葉(大丈夫です・お任せください)
ステップ1.ママパパの不安を否定する
「ウチの子、落ち着きがなくって」とママパパに言われると
「そうですね、落ち着きがないと心配されるかもしれませんが」
などと答えていませんか。
ピュアな気持ちを持った先生の多くは、よかれと思って
ママパパの気持ちをそのまま受け止めようとします。
ママパパの言った言葉をそのまま受け止めると、
子どもを「落ち着きのない子」と先生も認めていることになりますね。
ママパパは心の内で、「やっぱりウチの子、落ち着きがないんだ」と感じます。
ママパパの本心は「ウチの子、落ち着きがなく見えるけど…」なのです。
落ち着きのない、困った子、とは思っていないのです。
そこを間違ってしまうと、ママパパの心をつかむことはできません。
まず、ママパパの子どもに対する否定的な言葉を否定し、
先生が子どもを肯定することから入ります。
「そんなこと、ありませんよ!!」 「違いますよ!!」
この言葉、先生自身が「困った子はいない」のマインドでなければ、出ません。
たとえ言葉にしても、「そんなことないですよ…」
と、弱い否定になってしまいます。
「困った子はいない」のです!
このマインドに、なりましたか。
ステップ2.見逃さなかった子どもの様子を具体的に伝える
ママパパを安心させるためには、先生がレッスン中、
子どもの「できた!」を見逃さないことが重要です。
そして、それを具体的に、端的に言葉でママパパに伝えます。
ここでのポイントは、ママパパが不安に思っていることと
反対の「できた!」を見逃さずに伝えることです。
どういうことかと言うと、たとえば、
・落ち着きがない、と思っているママパパには、
集中していたこと、ジッと見ていた様子を伝えます。
・何もしない、と思っているママパパには、子どもの
元気にリズムをとっていた、手をサッとあげた、ジャンプできた、など
行動的な様子を伝えます。
。
ママパパは予想していたのと違う子どもの「できた!」を知ることができ、
喜びを感じます。
また、先生がその様子を見逃さないでくれたことに、信頼を寄せます。
ですから、まず子どもの様子を見逃さず、具体的に伝えることが
重要なのです。
ステップ3.先生がすることを伝える
この教室に通うと、先生は何をしてくれるのか、他の教室と違う
どんなことを期待できるのか、とママパパは思っています。
なので、先生が子どもとママパパにしてあげること、教室のコンセプトなどを、
ママパパが理解し納得していただけるように伝えます。
たとえば、
「○○ちゃんがレッスンで見せる反応、どんどん声に出して褒めていきますね。
そして、ママパパにお伝えしますね。」 とお話したら、ママパパは安心しますね。
ステップ4.ママパパがすることを伝える
ママパパがすることも明確に伝えます。
「ママパパも一緒にいっぱい褒めてくださいね」
難しいことは何もなく、一緒に楽しみ、一緒にいっぱい褒めるだけでいい
ということを伝えます。
ステップ5.〆の言葉(大丈夫です・お任せください)
最後は、安心の言葉です。
「大丈夫です」 「お任せください」
この言葉を、先生が自信が持って言えることが大切なポイントです。
そのためには、レッスンの予習、準備を充分に行い、
余裕を持ってレッスンに臨むことが必須です。
そうすれば、子どもの「できた!」を見逃さないで、ママパパに伝えることができます。
実際に、どんなママパパの「困った」に対して、どうお話するかの事例を
あげていきます。
参考にして、レッスンの際にお話できるよう、練習してください。
ママパパとの対話―4つの事例
ママパパとの対話 「5つのステップ」を使って、いろいろなお子さん別に、事例を
あげていきます。
この型をマスターして実践してください。
(1)落ち着きがなくて、じっとしていない子
どういう行動をとるかを、まずよく観察しましょう。
どの行動から、ママパパは落ち着きがないと感じているのかを、捉えます。
好奇心が旺盛で気になったものへ近づく様子なのか、音に反応して
動く様子なのか、などです。
走っている子がいたら、動いていたその先で、何に興味を持ったかを
気に留めることが必要です。
子どもが、先生のいてほしい場所にいなくてもいいのです。
ママパパや先生がその子の近くに行って、一緒にリズムをとってもいいですね。
大事なのは、先生が、子どもがどこにいても様子を見逃さないことです。
そして、「見ているよ」ということが伝わるように、その子と目を合わせ
仲良くなりましょう。
ママパパに、今できていることを言葉にして伝えましょう。
一緒に子どもを褒めることが大切です。
「5つのステップ」に当てはめてみます。
《 参考例-1 「落ち着きがない」と言うママパパ の場合》
1.ママパパの不安を否定する。
違いますよ!(大丈夫です!!そんなことありませんよ!!)
○○ちゃんは、好奇心旺盛なんです。
2.見逃さなかった子どもの様子を具体的に伝える。
音や動きの変化、よく感じとっていましたね。
曲が変わったとき、「あれ?」と言う表情で動きを止めて、
ジーッと音を聴いていましたよ。
絵本のとき、近くに来て、よく見て集中していましたね。
声もたくさん出ていました。
3.先生がすることを伝える。
○○ちゃんがレッスンで見せる反応を、どんどん褒めていきますね。
そして、ママパパにお伝えしますね。
4.ママパパがすることを伝える。
ママパパも一緒にいっぱい褒めてくださいね。
5.〆の言葉(大丈夫です・お任せください)
大丈夫です、お任せください。
(2)おとなしくて、何もしないように見える子
おとなしくて、じっとしている子どもの場合は、何が好きなのかを、
まずリサーチしましょう。
月齢によっては、人見知りがはじまっていることもありますね。
恥かしいという感情が育って、人に見られていることもわかってきます。
人見知りは、困ったことではなくて、成長している証であることを、
ママパパに伝えましょう。
「恥かしいという感情が育ってきていますね」
「きっとおうちではかわいい反応いっぱいしているのでしょうね」
などと、その子のことを認めている言葉がけをして、
先生は、子どもが反応していると、わかっていることを伝わるようにしましょう。
先生は、その子の視線の先、その子が何を見ているのかを
見逃さないことです。
「5つのステップ」に当てはめてみます。
《 参考例-2「何もしていない」と言うママパパ の場合》
1.ママパパの不安を否定する。
違いますよ!(大丈夫です!!そんなことありませんよ!!)
〇〇ちゃん、よく観て、よく考えているんですね。
2.見逃さなかった子どもの様子を具体的に伝える。
合奏のとき足でリズムをとっていましたよ。
お返事では、お口が「はあい」と動いていました。
タンバリンをバッグの中から自分で見つけて、ママパパに見せていましたね。
とっても嬉しそうな表情をしていましたよ。
3.先生がすることを伝える。
○○ちゃんがレッスンで見せる反応を、どんどん褒めていきますね。
そして、ママパパにお伝えしますね。
4.ママパパがすることを伝える。
○○ちゃんがレッスンで見せる反応を、どんどん褒めていきますね。
そして、ママパパにお伝えしますね。
5.〆の言葉(大丈夫です・お任せください)
大丈夫です、お任せください。
(3)泣いてしまう子
語彙が少ない時期は、人見知りの時期は、そのときの想いを言葉のかわりに、
泣いて知らせてくることがあります。
人見知りさんの場合は、先生が
ママパパと仲良くお話していることで、安心し早く馴染むようになります。
また、何かを伝えたくて泣いている場合は、そのたくさん感じていることを
理解してあげましょう。
そして、不安に思っているママパパに「感性が豊かなお子さんですね」と
まず、プラスの言葉でお話しましょう。
このとき、その子の行動や視線の先をよく観て、
子どもが何を伝えようとしているのかを探ります。
何かほしいのか、音楽に反応したのか、今しているカリキュラムが楽しいのに
終わってしまったからなのか…・
いずれにしても、泣くことは素敵な感情表現だということを、先生が理解し
ママパパに伝えましょう。
ママパパが安心して、リラックスできたら、子どもも笑顔になっていきます。
ママパパがゆったりと子どもの気持ちを受け止められる状態を
つくれるようにしましょう。
泣くのは言葉なのですから、泣いてもいいことを伝えましょう。
「泣いてしまうかも」と心配されているママパパには、「泣いてもいいんですよ」
泣き出したときは、ママパパに「立ってトントンしてもいいんですよ」
「音が変わったのわかるのね、ステキね」と、安心する声かけをすぐにしましょう。
「5つのステップ」に当てはめてみます。
《 参考例-3「泣いてしまう」と言うママパパ の場合》
1.ママパパの不安を否定する。
違いますよ!(大丈夫です!!そんなことありませんよ!!)
感性がとっても豊かなお子さんですね。
2.見逃さなかった子どもの様子を具体的に伝える。
〇〇のとき、ママパパに抱っこされながら、こちらをじっと見ていましたね。
〇〇の歌のとき、身体がリズムに合って揺れていましたよ。
最初泣いていたのが噓のように、最後は自分からしていましたね。
3.先生がすることを伝える。
○○ちゃんがレッスンで見せる反応を、どんどん褒めていきますね。
そして、ママパパにお伝えしますね。
4.ママパパがすることを伝える。
ママパパも一緒にいっぱい褒めてくださいね。
5.〆の言葉(大丈夫です・お任せください)
大丈夫です、お任せください。
(4)よその子に手を出す子
よその子の頭や顔に、手がいってしまう子がいます。
実はそれは、大人が思っているような「叩く」、という動作ではないのです。
この時期の子どもは、顔しか認識していないので、どうしても
顔に手がいってしまうのです。
認識しているから、手がいくのだということを理解しましょう。
でも、ママパパは、興味があっても、手を出されては困りますね。
そんなときには、「子どもの手の間に、ママパパの手を入れてください」とお話します。
そして、触りたい子どもの気持ちを受け止めてあげましょう。
また、言葉の代わりに手が出る、という時期もあります。
ものを「貸して」の言葉の代わりに、手が出てしまうということです。
こうしたときは、出した子どもの手の下に、ママパパは瞬時に手を入れながら
「貸してほしいのね」と言葉も添えるとよいことを伝えます。
それを繰り返すと、「叩く」という手段でなくても、自分の想いが伝わることを、
子どもは学習していきます。
伝えたい想いに対して、語彙-言葉の種類が少ない乳幼児期に
見られる行動です。
こうして、感性豊かな、語彙の少ない乳幼児期の子どもの心と行動を
ママパパに伝えサポートしてあげましょう。
ママパパは、子どもの行動が、攻撃的なのではなく、人と関わりたくて、
起こしているのだとわかるだけで、かなり気持ちが楽になります。
「5つのステップ」に当てはめてみます。
《 参考例-4 「手を出してしまう」と言うママパパ の場合》
1.ママパパの不安を否定する。
違いますよ!(大丈夫です!!そんなことありませんよ!!)
お友だちと仲良くしたい、貸してほしいと伝えたいんですね。
2.見逃さなかった子どもの様子を具体的に伝える。
お友だちの様子をよく見ていますね。
一緒にしたいという気持ちが表れていますね。
それはいいことですよ。
お友だちのことを、じーっと見ていましたよ。
お友だちがカードに手を伸ばしたときも、どうぞと、渡していましたよ。
3.先生がすることを伝える。
○○ちゃんがレッスンで見せる反応、どんどん声に出して褒めます。
そしてママパパにお伝えしますね。
4.ママパパがすることを伝える。
ママパパも一緒にいっぱい褒めてくださいね。
5.〆の言葉(大丈夫です・お任せください)
大丈夫です、お任せください。
このように「5つのステップ」に沿ってママパパの心を掴んで、お話ができるよう、
参考例を使って繰り返し練習をしましょう。
そして、お話するときは、ゆったりと、ハッキリした言葉で話しましょう。